皆様、こんにちは!!
ラッコ店長です。
グラベルロード推し
スポーツバイク店で業務していると、自転車業界の各方面から、グラベル(非舗装路)向けロードバイク(以下、単にグラベルロードと言います)、グラベル用のパーツ、用品などの案内、セールスが舞い込んできます。
どこを向いてもグラベル、グラベルのオンパレードです。
スポーツバイク業界は、グラベルロードを売りたくて仕方がないのです。
理由
その理由を邪推します。

でも述べましたように、2025年現在の日本は、凄まじくロードバイクが売れていません。
しかし、何らかの物品、サービスを売り続けない限り、企業は死に絶えてしまいます。
その、唯一といって良い活路、希望の光がグラベルロードなのです。
グラベルロードが業界の希望の光として注目を浴びているのは、以下の理由と推察します。
1 グラベルロードは日本ではまだまだ普及していない。
ロードバイクをすでに持っているという層であっても、グラベルロードはまだ、という方もいます。
2台目、3台目の需要が期待できます。
2 ロードバイクとグラベルロードは似ているようで、別々のコンポーネント、ホイール、フレームを使うことが多く、すでに手持ちの資産を使い回すことが難しいのです。
つまり、強引な買い替え需要を喚起することができます。
3 北米でそこそこヒットしているため、日本でもヒットするに違いない、という希望的観測。
4 2025年、日本はキャンプブーム(実はもう終わっている気もしますが。。。)が続いています。
グラベルロードのアウトドア志向とキャンプは親和性が高いと思われ、グラベルロードも売れるに違いない、という希望的観測。
などでしょうか。
日本でグラベルロードは流行らない
いきなり結論から申し上げますと、日本では、グラベルロードは流行らないと推察します。
1 まず、2台目、3台目の需要がある、というのはその通りです。
実際、当店のお客様でもロードバイクからスポーツバイクにデビューして、新たにグラベルロードをご購入になった、という方はたくさんいます。
私自身も、Cannondaleのシクロクロスバイク(CAADX)、GIANTのグラベルロードバイク(Revolt)を運用しています。
しかし!!
以前の記事でも言及致しましたが、現在、ロードバイク市場は急速に縮小、冷却化しています。
このような状況で、2台目、3台目を新たに購入になる方は、もちろんいらっしゃいますが、凄まじい少数派です。
少数派の人々だけを頼りにして、流行っていると表現することはできないでしょう。
2 グラベルロードを流行らせることで強烈な新規需要を喚起させる、これは事実です。
そして、これが自転車業界の真の狙いです。
売上を伸ばすためには、たとえ売れていようが売れてなかろうが、今はグラベルがブームですよ!!と言い続けるしかないのです。
(ロードバイクが超絶売れていないのに比べれば、グラベルロードはまだ希望があります)
確かにこの宣伝、言い続けたことに一定の効果がありました。
ロードバイクが欲しいのですが、という人はめっきり減りましたが、メディアの影響からか、グラベルが欲しいのですが、という人はぽちぽち現れているからです。
しかし、総需要がありえないほど底冷えする中、この程度の需要で、流行っていると表現するのは無理があるでしょう。
3 確かに、北米ではグラベルロードの認知、人気が広まったのかもしれません。
しかし、およそ日本では下地、環境が違いすぎて同列に論ずることができません。
そもそも、ロードバイクを含めたスポーツバイクのブームは東京、神奈川などの首都圏と、ごく一部の地方中核都市だけの現象です。
(大手スポーツバイク店の展開などを見ても明らかです。)
もちろん、地方にもスポーツバイク好きの方はいらっしゃるでしょうが、その数、比率は大都市部とは比較にならないほどの超少数派です。
ところで、今までスポーツバイクに無縁であった人が、突如、グラベルロードなら自分にもできるかも!?
乗りたい!!
となるでしょうか。
否(いな)
結局は、従来のロードバイクマニア、MTBマニアなどがグラベルロードにまで食指を広げているに過ぎません。
つまり、絶対的なスポーツバイク人口の多い首都圏、地方の中核都市で、ひっそりとグラベルロードが売れているだけなのです。
次に、首都圏、特に東京、神奈川県などで、グラベルロードが活躍できるような場があるでしょうか?
否(いな)
ほぼすべての道は舗装され、北米では存在する荒野をひたすら進む、といった空間などありません。
もちろん、どこぞの山に行けば、林道は存在するでしょう。
しかし、その山までどのように行きますか?
車に乗せて、ですか?
また、レースやイベントにご参加になるのも大いに結構です。
しかし、そこまでしてグラベルを走りたい、というのは超絶マニアだけです。
もちろん、マニアの方はそれで大いに結構です。
私もツーリングのマニアですし、それぞれの方の選択、生き方を否定するものではありません。
しかし、大衆に流行っているかどうか、という視点から見れば、わざわざ車に乗せて、イベントに参加して、専用のコースに到着してからようやく走行開始!!、といった手数を踏まなければならないスポーツなぞ、およそ大衆受けするわけがありません。
このように、日本ではグラベルロードが活躍できる場などありません。
いえ、正確に言えば、自然が豊かな場所はいくらでもありますが、そのような場所ではスポーツバイクが全く流行っていません。
グラベルロードは都市部の人間を相手に商売するしかないにもかかわらず、その都市部では気軽に走行できるグラベルが存在しません。
ゆえに、日本ではグラベルロードは流行りようがないのです。
4 アウトドアブームはわずかながら希望があります。
アウトドアが好きな方が、グラベルロードに興味を持って、という裾野の広がりはあります。
この点は期待できるでしょう。
しかし、2025年現在、アウトドアブームは終わった、と推察します。
例えば、スノーピークさんが2023年12月期決算では純利益99.9%減、2024年7月には上場廃止といったように、アウトドアブームはすでに終焉しているというべきです。
そのすでに終焉しているブームを頼るのは、あまりにも能天気過ぎましょう。
グラベルロードの利点
以上のように、日本ではグラベルロードは流行らない、というのが私の結論でありますが、ただ批判するだけであれば、建設的ではありません。
そもそも、私自身、プライベートで日々のお買い物、移動手段として最も愛用しているのは、他ならぬグラベルロードです。
グラベルロードの利点はたくさんありますが、汎用性が高い、という表現が、もっともふさわしいと思われます。
汎用性が高い、というのは結局、どっちつかず、中途半端の裏返しであります。
純血なオンロードではないし、これまた純血なオフロードバイクでもない、その塩梅が街中で走るのにちょうど良いのでしょう。
タイヤも適度に太く、グリップも強いですから、街中の段差、雨の日であっても(純血ロードバイクよりも)安心、安全に走ることができます。
ジオメトリも純血ロードバイクほどクイックではないですし、直進安定性も高いモデルがほとんどです。
つまり、高度なテクニックがなくても乗りやすいということです。
また、グラベルロードはフレームが純血ロードバイクよりも頑丈で、ダボ穴も豊富なモデルが多いです。
荷物を取り付けたり、キャリア、バスケットを取り付ける余裕があります。
これらの要素は皆、街中でのお買い物、通勤などに役立つものばかりです。
ゆえに、私はほとんど普段の生活はグラベルロードばかり乗って、ツーリング時もグラベルロードを多用しているのです。
今後の展開
上記の街中で役立つ、通勤に役立つ、という要素は、実はママチャリが備えている性能そのものです。
私の勝手な結論では、結局、大衆に流行らせるためには、スポーツバイクとしての性能を追求するのではなく、誰でも知っているおしゃれスポーツバイクブランドが、高級ママチャリを作ることが一番です。
(とはいえこの方法はすでにBianchiさんなどが実践しておられます)
グラベルロードを無理に流行らせようと躍起になるくらいなら、スポーツバイクブランドがママチャリを作るほうがよほど未来がある、と勝手に妄想しております。
今日はお休みであったため、長々と駄文を連ねました。
本日はこのあたりで宜しいと存じます。
それでは、皆様、次回お会いするときまで、ごきげんようです!!
以上、ラッコ店長こと、奈須野でした。
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