自転車店の作業時間は短ければ短いほど良いのか

ラッコ店長

皆様、こんにちは!!
ラッコ店長です。

問題

少し悩んでいて、しかし自分の中では結論が出ている問題があります。
それは、自転車店の作業時間は短ければ短いほど良いのか、というものです。

結論

結論としては、場合による、と考えます。

以下、詳述します。

原則

まず、何らかの作業をする、という商品、サービスの提供は、基本的には早ければ早いほど、優れているといえるでしょう。

まず、お客さんは作業が終了するまでは、預かった車体、パーツ等を使用することができないわけで、その間の利用便益を損なうからです。

次に、時間は有限のものであり、お待ち頂くというだけでもお客さんは時間というコストを払っていることになります。

そして、提供するお店側としても、スタッフの作業時間が短ければそれだけ労働コストを低減できるわけで、同じ作業を2倍、3倍の時間をかけて終了するよりも、労働コストを抑えることができる、という点でありがたいことなのです。

最後に、少人数の店舗の場合、作業時間が長すぎるとその間の電話対応、接客対応などが難しくなり、商機を失う、という可能性もあります。

したがって、前述しましたように、作業時間は早ければ早いほど優れているのです。

例外

しかし!!
ものごとには例外があります。

早すぎる作業時間がかえって悪手になる、ということもあるのです。

そもそも、自転車店は必ずしも自転車に詳しく無い一般の方、素人の方(大変失礼)を相手にする商売で、修理やサービスの提供も、究極的にはお客さんを主観的に満足させる、ということに尽きます。

お客さんを主観的に満足させる、というところがキモで、いかに客観的、技術的に正しい、合理的であったとしても、素人であるお客さんが不満、不安になった場合には、実は接客業としては半分落第なのであります。

そのため、素晴らしい技術と知識で、瞬間的に車体を修理できたとしましょう。
それは同業者、プロから見れば見事!!、あっぱれということになるのですが、あまりにも早すぎて、お客さんが不安に思ってしまうことがあるのです。

つまり、
本当に直ってるの?
そんなすぐに直るのであれば、もっと安くできないの?

といった不安です。

お店側の反論

技術的に確かであれば、作業時間の長短は成否には直結しませんから、本当に直っていると反論できましょう。

さらに、プロの仕事というのは、これまた必ずしも作業時間の長短には直結しません。
たとえ1秒で終わった仕事であっても、それが価値のあるものであれば、1億円!!ということもあるのです。
ゆえに、すぐに直ったとしても、それはスタッフの技術力が高かった恩恵であって、直ちに作業料金が安くなる、というわけではないのです。

もちろん、あまりにも平易な作業であれば、それに見合って¥200です、¥300です、といったことはあるでしょう。
また、素人の方がお直しできない、という領域であれば、例え15秒の作業でも¥2,000頂く、といったこともあるでしょう。

このように、お客さんに反論することができます。

しかし、お客さんの理解が得られなくても、技術的に正しければ、悪いのは無知、不理解なお客の方である、という論理はあまりにも傲慢、お客さんとの対話を無視した独善的な対応といえましょう。

良く言えば職人気質のお店、ということになりますが、扱っている商材が完全にプロ向けのものであれば、なんとか成立するものの、残念ながら大衆のウケ、人気店となることは難しいでしょう。

接客業の基本

しかし、しかーーーし!!

例外の冒頭で述べましたように、自転車店というのは、技術的、学術的な正解、正義を追求する場所ではなくて、来店したお客さんを「主観的に」満足させる場所なのであります。

もちろん客観的に修理が完了していなければ、主観的な満足度も上がらないでしょう。
(どれだけ取り繕っても、作業が終わっていないのに、ご満足頂くのは極めて難しいです。
しかし、不可能ではありません。)

このように、客観的に修理をしても、主観的には不満であれば、お客さんへのサービス提供としては、これまた既述しましたように、半分落第なのです。

対処法

それではどのようにするか。

まず、お客さんが猛烈に急いでいて、こちらもどれだけ急いでも5分はかかる、という作業で、作業料が最大数千円程度であれば、その場で作業に着手、終了しても良いでしょう。

これこそが自転車屋さんの面目躍如、7分でパンク修理を終えた!!ということであれば、お客さんから感謝されること間違いなしです。
作業の見た目も大変そうで、お客さんに披露しながら作業しても、構わないでしょう。

つぎに、1分以内に直せそう、プロとしては平易な作業内容で、金額が高くなる場合、一旦車体を預かってお客さんに対しては15分後にまたいらして下さい、といった対応をした方が良いです。
つまり、瞬間的に直ったという場面をお客さんには見せない、ということです。
15分くらいお待ち頂いた後に、¥2,000です、となっても、それほどの違和感、お客さんからの反発も無いでしょう。

最後に、長年接客業をしているとなんとなくお客さんのオーラでわかるのですが、あ、この人、トラブルになりそうだな、という人で、かつ金払いが悪そうな人(凄まじく失礼)には、確実に一度車体を預かった方が良いです。
時間もかかる費用も大きめに伝えておくのが無難でしょう。

トラブルになりそうなお客さん相手に、眼の前で修理してはいけません。
修理したそばから、文句をつけられる可能性大だからです。

このようにして、ラッコ店長は、早く直せそうでも、意図的に早く直さない(より正確に言えば早く返却しない)ことがあるのです。

本日はこのあたりで宜しいと存じます。
以上、ラッコ店長こと、奈須野でした。

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