ロードバイク ロングツーリングで恐ろしいもの その5 / ワイヤー切断 / 出先でリアディレイラーワイヤーを交換する / ツーリング時のおすすめ工具

ラッコ店長

皆様、こんにちは!!
ラッコ店長です。

ロングツーリングで恐ろしいものについて、取り上げます。
第五回目はワイヤー切断です。

過去の記事は以下をご参照ください。

ロードバイク 携帯ポンプ選び方 / 出先でのパンク修理の仕方 / ロングツーリングで恐ろしいもの その1 パンク
皆様、こんにちは!!ラッコ店長です。ロードバイクのロングツーリングで恐ろしいものについて、取り上げます。第1回目は、パンクです。2回目以降の記事は、以下をご参照ください。パンクとはまず、そもそもパンクとは、英語のpuncture 突き刺さる...
ロードバイク ロングツーリングで恐ろしいもの その2 / トンネル / トンネル向けライト、装備の選び方
皆様、こんにちは!!ラッコ店長です。ロングツーリングで恐ろしいものについて、取り上げます。第二回目はトンネルです。他の記事は以下をご参照ください。トンネル走行で役に立つグッズトンネルがなぜ恐ろしいのかについては、第三回目の記述致しました。本...
ロードバイク ロングツーリングで恐ろしいもの その3 / トンネルがなぜ恐ろしいのか 安全度の上げ方
皆様、こんにちは!!ラッコ店長です。ロングツーリングで恐ろしいものについて、取り上げます。第三回目はトンネルの恐ろしさです。他の記事は以下をご参照ください。トンネルの恐ろしさ日本全国をツーリングしておりますと、長さ1000m以上のトンネルに...
ロードバイク ロングツーリングで恐ろしいもの その4 / ハンガーノックと水の欠乏 浄水器を使う
皆様、こんにちは!!ラッコ店長です。ロングツーリングで恐ろしいものについて、取り上げます。第四回目はハンガーノックトンネルの恐ろしさです。過去の記事は以下をご参照ください。ハンガーノックとは長時間運動を続けているにもかかわらず、栄養補給が行...
ロードバイク ロングツーリングで恐ろしいもの その6 / チェーン切断 /出先でのチェーン再接続方法
皆様、こんにちは!!ラッコ店長です。ロングツーリングで恐ろしいものについて、取り上げます。第6回目はチェーン切断です。過去の記事は以下をご参照ください。チェーンが切れる、と表現されますが、チェーンは金属の板だし、どうやって切れるの?とお思い...

ワイヤーとは

まず、本稿では、ブレーキワイヤー、シフトワイヤーのことをー「ワイヤー」と称します。
(ブレーキケーブル、シフトケーブルと呼ばれることもあります)

もちろん、最新、かつ高価な車体であれば、油圧ディスクブレーキ、有線電動式、無線電動式の変速機が採用されていますから、各種パーツを操作するためのワイヤーはありません。
(その分、電源ケーブルや油圧ホースは必要になりますが、一般的にはワイヤーとは表現しません。)

しかし、多くのスポーツバイク、ロードバイクでは、今でも車体の操作にワイヤーを使っています。
ロングツーリング中に、そのワイヤーが切れてしまったらどうするか、というのが本稿の主題です。

原則 日々のメンテナンスを重視する

そもそも、出先でトラブルが起きる前に、十分準備、メンテナンスをしてからロングツーリングに臨むべきです。

年に一回はブレーキワイヤー、シフトワイヤーを全交換しておけば、まず、ロングツーリング中であったとしてもワイヤーの切断は起きないでしょう。

しかし、年間数千km以上ツーリングするような方ですと、年に一回の交換でもワイヤーは切断すると思います。
(ラッコ店長は半年に1回はリアシフトワイヤーが切れます)

ワイヤーの交換、各パーツの調整は一応はプロレベルの難しさがあるため、馴染みの自転車屋さんに依頼するのが無難だと思われます。

それでも切れてしまった場合

それでもメンテナンスの狭間であったり、悪天候、激しいダウンヒルが続いたロングツーリングなどでは、ワイヤーが切れてしまうことがあります。
以下、状況に応じて解説します。

ブレーキワイヤーが切れた場合

昨今のロードバイクは急速に油圧ディスクブレーキに移行しています。
しかし、クロスバイク、クラシックなロードバイクでは、まだまだブレーキワイヤーを使った車体が多くあります。

ツーリング中で、ブレーキワイヤーが切れやすいのは、一般的にはフロントでしょう。

なぜなら、フロントブレーキは(細かな原理は省略致しますが)制動力が高く、多用されるため、ワイヤーが傷みやすいのです。
また多くの方は右利きで右手の方がチカラを入れやすいため、さらにフロントブレーキのワイヤーの方が負担がかかりやすくなります。

これに対して、リアブレーキは制動力が低いため、あまり使用されることはなく、左手ということも相まって、切断の頻度が低いのです。

そして、フロントブレーキが切れたまま、重装備のツーリング車に乗り続けることは危険です。
制動力が極端に落ちて、ダウンヒル中に減速が間に合わないことがあります。

予備ワイヤーを携行し、交換する

万全なのは、予備のワイヤーを携行しておくことです。

実は、SHIMANOであれば、何種類かグレードがあります。
スチール
ステンレス
シルテック
ポリマーコーティングです。

ツーリングで使いやすいのは、
スチール
ステンレス
シルテック
までで、ポリマーコーティングばメンテナンスの頻度が高く、荒っぽい使い方をしないレース用車体向けでしょう。

ツーリングであれば、スチール、ステンレス、シルテックのいずれでも構いません。

スチールが錆びやすいというのは事実ですが、安価で頻繁に交換しても惜しくないのが特徴です。

錆びにくいのと、価格のバランスの良い、ステンレスがツーリング用としては万能でしょうか。
シルテックは表面にテフロンコーティングが施されているもので、入門グレードを超えた、やや高価なロードバイクに採用されています。
予算に余裕があるのであれば、このシルテックワイヤーでも良いでしょう。




ところで、フロント、リアワイヤーは長さが異なります。
しかし、リアワイヤー用の長いワイヤー(2050mmなど)を1本、用意しておけば、万一出先でワイヤーが切れたとしてもなんとかなります。

リアワイヤーをフロントに移植する

しかし、予備ワイヤーが無い場合には、リアブレーキのワイヤーを取り外し、それをフロントに移植します。
フロントブレーキさえ利けばなんとかなるでしょう。

50km、100kmも移動すれば、自転車店にたどり着けるはずです。
そこで、ワイヤーを調達します。

なお、ブレーキワイヤーには、大きく2種類あります。
ワイヤーの末端部分、タイコと呼ばれる部分の形が2種類あるのです。

クロスバイク、マウンテンバイクなどに採用されている形と、STIレバーなどのロードバイクに採用されている形です。
ワイヤーを調達するときは、それを間違えないようにしてください。

そして、フロント用(1000mmなど)、リア用(2050mmなど)で長さが異なりますが、1本だけ携行するのであれば、リア用でも使えるものにしておけばフロント、リアどちらでも使えて便利でしょう。

リアでも使える長いケーブルをフロントに使った場合、ものすごく余ってしまいます。
しかし、さすがに、出先にワイヤーカッターを持ち歩くのは非現実的でしょうから、フロントホイールに絡まないよう、末端をくるくると巻いて、バラけないようにしっかりまとめておきます。

ワイヤー交換なんて出来ない!!という場合は、片方のブレーキだけでなんとか最寄りの自転車店まで進み、ワイヤー交換を依頼してください。

もっとも、ブレーキワイヤーの切断は、よほど酷使されている車体か、メンテナンスが不十分すぎる車体でなければ起きないでしょう。

シフトワイヤー切断

実は、もっとも多いのが、シフトワイヤーが切れてしまうことです。
特に、リアディレイラーのワイヤー切断の頻度が一番高いでしょう。

ツーリングのスタイルにも寄ると思われますが、走行中、頻繁にブレーキをかける、ということはあまりありません。
しかし、ギア比を調整するために、変速することは、ものすごく多くあります。

そして、ブレーキワイヤーよりも、シフトワイヤーの方が細く、昨今のSTIレバーであれば、レバーをコンパクトにするためにワイヤーの経路をかなり強引、直角に近い角度に曲げていることがあります。

さらに、空気抵抗を減らすために、ワイヤーを車体の内部に装備したり、あれこれと無理のあるワイヤーの這わせ方をしているのです。

ただでさえ細いワイヤーを、このように不自然な経路でつなげているため、各所に負担がかかりまして、現代のシフトワイヤーはとても切れやすくなっています。

前述しましたが、ラッコ店長のツーリングバイクは半年に1回はリアシフトワイヤーが切断されます。

リアシフトワイヤーが切れた場合、悲劇です。
ディレイラーはそのままの状態では、バネのチカラで常に小さくなろうとします。
ワイヤーが切れたディレイラーは小さくなり、ギア比がどんどん上がっていく(ペダリングが重くなる)のです。

重装備のツーリング車で、最大のギア比にした場合、特に坂道では、全体重をかけてもペダリングできない、先に進まないということもあります。
つまり、一歩も先に進めなくなるのです。

フロントブレーキ、リアブレーキの関係と同様、シフトワイヤーもフロントが短く、リアが長くなります。
ブレーキであれば、前述しましたように、ほとんど切断するのはフロント側で、ゆえに長さに余裕のあるリアをフロントに移植する、というワザも使えました。

しかし、シフトワイヤーの場合、切断するのはほとんどリア側、ワイヤーが長い方なのです。
そのため、リアシフトワイヤーが切れた場合に、短いフロントからワイヤーを移植して、急場をしのぐ、ということはできません。

また、これは余談になりますが、仮にフロントシフトワイヤーが切れても、フロントチェーンリングがインナー固定されるだけ(ギア比が下がる、軽いギアになる)です。
最大速度は遅くなるかもしれませんが、軽いギアで固定される分には、ひとまず進むことができるため、それほどの問題とはなりません。

リアシフトワイヤーが切れた場合、このような悲劇が生ずるのですが、回避するのは3つの方法しかありません。

予備パーツもなく、自力での交換も難しい場合

最寄りの自転車店まで押し歩きます。
その場合、重いツーリング車であれば、時速3kmくらいしかでないと思われます。
山中でリアディレイラーワイヤーが切断した場合は、絶句しますが、上りは押し歩き、下りは車体に乗って下るしか無いでしょう。

ロードサービスに加入している場合

万一の保険として、ロードサービスに加入していると安心です。

いくつかサービスが存在しますが、ラッコ店長が存じ上げているものとして、以下のものがあります。
年会費¥3,400で、年4回まで救出してくれます。
正直申して、年4回以上、リアシフトワイヤーが切断することは無いでしょう。
また、距離も50km以上運んでくれますから、ひとまず次の集落まで運んで頂いて、自転車店の営業時間内であればお頼みし、営業時間外であれば、その集落周辺で夜を明かすのが良いでしょう。

【Cycle Call】自転車用のロードサービス

予備ワイヤーがある場合

予備ワイヤーがある場合は、交換をします。
ラッコ店長は、つねにシフトワイヤーの予備を携行しています。
過去、何度もツーリング中にシフトワイヤーが切れたことがあったからです。

シフトワイヤーにもシマノであればグレードがあります。
スチール
ステンレス
オプティスリック
ポリマーコーティングです。

ツーリングで使いやすいのは、ブレーキワイヤーの選択と似ていて、
スチール
ステンレス
オプティスリック
までだと思います。

スチールワイヤーはあまりにも安価であるため、Amazonでは販売されていないかもしれません。
(自転車屋さんに行っても最低のラインナップはステンレスからで、スチールワイヤーは販売していない、というプロショップが多いでしょう。)

また、最上位のポリマーコーティングワイヤーはすぐに毛羽立つため、贅沢な車体でなければ逆に使いにくいでしょう。
荒っぽい使い方をするロングツーリング車には向かないと考えます。



しかし。。。
難易度は高めです。

リアディレイラーワイヤーが切れるのは、ほとんどの場合、STI内部の曲がりくねった箇所です。
STIレバーのカバーをめくって、タイコ(ワイヤーのレバー側、末端部分)が埋め込まれている場所を露出させます。

手持ちの工具をなんとか使って、タイコを外します。
シフトアップ(重たいギア)すると、タイコが露出しやすくなります。
しかし、ほとんど場合、STIレバー内部でワイヤーが崩壊、絡んでいるため、そうすんなりとは動かないでしょう。

ワイヤーを取り除きます。
満足な工具もない中で、このタイコを外すのは、極めて難易度が高いといえましょう。
ささくれだったワイヤーで手を切らないように、十分注意してください。

ところて、小型のペンチが1つあるだけで、ワイヤーの引き出し、パーツの簡易支持など、人間の指では不可能な補修作業が一気に可能になります。
積載能力に余裕のあるツーリングであれば、持参しておくと安全です。

精度、耐久度の高い、ホーザンのものをおすすめします。
重量は45gで、無視できる軽さ、ではないでしょうか。

ホーザン(HOZAN) ミニチュアラジオペンチ P-35


新しいワイヤーを這わせます。
このとき、長期保存していたワイヤーは先端部分がほつれているかもしれません。
瞬間接着剤なりで、先端部を補強すると、ワイヤーを通しやすくなると思います。

瞬間接着剤で補強し、だいぶんマシになりました。

慎重にワイヤーを通していきます。
先端部分がほつれかかっているため、とくに用心します。

フレームがシフトワイヤー内装式の場合、難易度はさらに上がります。
その場合は。。。なんとかするしかありません。
しかし、あらかじめ、ワイヤーの経路、ルーティングを理解していないと、出先での修理は難しいでしょう。

リアディレイラーにワイヤーを固定します。

ワイヤーの初期のびをとります。

あまったワイヤーがホイール、ディレイラーにからまないよう、十分に注意して巻いておきます。

完成です。

応急処置が終わったら 工具をお借りする!?

あくまでも応急処置ですから、最寄りの街の自転車店さんなどで、シフトワイヤーを張り直してもらうか、ワイヤーカッターで切断をお願いするのが良いでしょう。

なお、自転車店さんによっては、ご厚意で工具を貸してくださるお店もありますが、当店では丁重にお断りしています。
理由が気になる方は以下の記事をご参照ください。

自転車ショップラプソディー その7 工具を貸してくれませんか
皆様、こんにちは!!ラッコ店長です。本シリーズは、業務をしていて不思議に思ったことを書き連ねたものです。他の記事は以下をご参照ください。途中、欠番しているものは、まだ書き上げていない記事です。時々お受けするご質問があります。工具を貸してもら...

おすすめ工具、ツールボックス類、おすすめしない工具

パーツを収納するツールボックスには、ゼファールのツールボトルを愛用しています。
各社ツールボトルは販売しておられますが、これが最大容量、さらに拡張の余地もある、というのがお気に入りポイントです。
また、耐久度もあり、かれこれ10年近く使っています。


ラッコ店長が業務で多用しているのは、以下のKTCアーレンキです。


しかし、ツーリング中であっても、これがあれば万全ですが、ツールボックスに入らないことがあります。

そのような場合は、短めのものを持参すると良いでしょう。


なお、十徳ナイフのようなツールは、極めて使いにくく、結局実用性は低い、というのが個人的な見解です。
便利そうで、全てのツールの品質、使用能力が低く、まさに器用貧乏の典型だからです。
(ないよりはマシ、というのは、そのとおりです。)


車体にもよりますが、ロングツーリングであれば、4mm、5mmのアーレンキがあれば大抵の修理は可能です。
さらに安全度を収納上げるため、3mm、6mmのアーレンキ、プラス、マイナスドライバー、ラジオペンチがあれば、万全でしょう。

また、別記事で特集致しますが、チェーン切りがあると、実はよろしいのです。
その詳細は別記事と致します。


皆様の車体のワイヤーがツーリング中に切れないことをお祈りしております。

本日はこのあたりで宜しいと存じます。
それでは、皆様、次回お会いするときまで、ごきげんようです!!
以上、ラッコ店長こと、奈須野でした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました