皆様、こんにちは!!
ラッコ店長です。
ロングツーリングで恐ろしいものについて、取り上げます。
第6回目はチェーン切断です。
過去の記事は以下をご参照ください。





チェーンが切れる、と表現されますが、チェーンは金属の板だし、どうやって切れるの?とお思いになるかもしれません。
チェーンが切れる原因
まず、チェーンは消耗品です。
具体的には、チェーンのコマとコマを接続している部分、ピンが回転によってやせ細り、コマとコマとの接続の間隔が少しずつ長くなっていきます。

画像引用 シマノ CN-M7100
やがてこのピンの結合力が弱くなり、あるとき外れてしまうのです。
これが、チェーンが切れる、と言われる現象です。
正確には、チェーンのコマの接続が途切れてしまう、ということです。
また、比較的高級バイクで採用されている、ミッシングリンクと言われるパーツを使っている場合、高トルクで変速を繰り返したりしますと、ミッシングリンクの結合力が弱まっていき、あるとき外れる、チェーンが切れることがあります。
チェーンの消耗は変速段数が多いほど激しくなります。
6-8速チェーンが一番長持ちし、9速、10速、11速、12速となるほどにチェーンの耐久度は下がっていきます。
それは、自転車の外装変速、スプロケットの幅には一定の限界があります。
スプロケットの幅を増やさずに、変速段数を増やすとすれば、格段の間隔を詰める、減らすしかないわけです。
そうなると、チェーンもまた、細く、薄くなっていきます。
こうして、変速段数が多いほどチェーンの寿命も短くなってしまう、ということなのです。
もっとも、11速、12速といった変速数は、高級ロードバイクにしか採用されない段数で、高級ロードバイクはそもそも速く走れることが最大の優先事項ですから、チェーンの耐久度が低い、などというのは些末な問題に過ぎないのです。
チェーンの寿命
もちろん、同じような使い方をすれば、変速段数の少ないチェーンの方が長持ちするでしょう。
しかし、チェーンの耐久度は使われ方によって大きく左右されます。
ゆえに、何千km耐えられます、◯◯年耐えられます、という議論はまったくの無意味です。
ラッコ店長は同じ11速チェーンで、3ヶ月で切れたこともあれば、1年持ったこともあります。
このような現象が起きるのは、時期によって、ツーリングの烈度、厳しさがまるで違うからです。
まず、ご自身のチェーンが伸びているかどうか、交換時期であるかどうか、確認してください。
専門店にお願いしても良いですし、ご自分で計測しても良いでしょう。
様々なツールが販売されていますが、パークツールのものが細かく計測でき、最上でしょう。
ラッコ店長も業務でこのツールを使用しています。
チェーンの上に乗せて、すっとゲージを移動させます。
使用方法はお使いになれば、すぐに分かります。
メモリを見て、0.75であれば交換しても良いかな、という時期
1.0以上であれば、交換時期です。
チェーンの寿命を減らす原因
チェーンの寿命を大きく削るのは、サビ、汚れ、チェーンオイル切れです。
まず、スポーツバイクでツーリングしよう、という方には少ないと思われますが、サビだらけのチェーンは、交換すべきです。
サビがヤスリのようになって、チェーンリング、スプロケット、ディレイラーなど、周辺の駆動パーツも巻き込んで消耗させていきます。
ママチャリさんなどではサビサビのチェーンというのも散見されますが、こと、スポーツバイクでは即交換のレベルでしょう。
次に多いのは汚れです。
チェーン付着した油汚れ、金属粉、砂などがジャリジャリとチェーンの内部、周辺パーツを削っていきます。
この汚れがひどいと、チェーンの寿命を一気に削ってしまうのです。
チェーンオイル切れもチェーンの寿命を短くさせます。
オイルが切れると金属同士の摩擦抵抗が増えますから、チェーンを駆動させるだけで通常よりも遥かにチェーンの寿命が短くなるのです。
チェーンのクリーニングの仕方
チェーンの汚れを落とすには、パーツクリーナーなどで汚れを落とします。
このパーツクリーナーは、ホームセンターなどで売られているものでも構いません。
単に吹きかけるだけでなく、ブラシを使って、歯を磨くようにチェーンのコマ内部をぐりぐりお掃除します。
ラッコ店長も愛用しているKTCのブラシです。
チェーンオイルは、ドライタイプのものが使いやすいと思います。
ロングツーリング、耐久ツーリングなどでは、ウェットタイプをすすめる人が多いかもしれません。
確かに、ウェットタイプのほうが、オイルのもちは良いです。
しかし、それ以上に汚れが付着し、積層していきます。
ついには、ヘドロのようになり、ツーリング中にこの汚れを落とし切ることはほとんど不可能です。
オイルを付けているのか、汚れを付けているのか分からなくなって、足かせになるだけです。
ドライタイプであれば、汚れがほとんどつかないため、ロングツーリングにむしろ向いている、と考えます。
個人的には、国産の呉さんか、フィニッシュラインをおすすめします。
チェーンオイルの運搬法
なお、以下の記事でも詳述しましたが、チェーンオイルを飛行機に乗せようとするのは危険だと考えます。

まず、ガスを使ったスプレーは積載することはできません。
次に、ガスを使っていないモデルでも、チェーンオイルは石油製品で、危険物と判断されれば、積載を断られる、破棄を強要されると思われます。
もちろん、精密な成分表などを持参して、係員さんの説得を試みる、などは不可能ではないでしょう。
まず、容器が未開封である、というのは当然の前提です。
開封済みの場合、内容物と表記が同一物である、という立証がその場では出来ないでしょう。
そうなると、没収やむなき、となります。
次に、未開封であったとしても、空港の係員さんには広範な裁量権が与えられておりまして、いくらこちらが説得したとしても、駄目ですと判断されればそれまでです。
離陸までの時間は限られております。
結局、空港の手荷物、積載荷物で自己の正当性の問答を繰り広げるのは徒労と考えます。
なお、ロングツーリングの出発地点に配送する、という方法もありそうですが。。。
Amazon等で注文した場合、チェーンオイルは危険物と判断され、いわゆるコンビニ受取指定ができません。
したがいまして、ロングツーリングの場合、適度に大きな街のホームセンターなどで、汎用的なオイルを購入するのが良い、と考えます。
それまでは出発前に塗布したオイルで、なんとかするしかありません。
チェーンの接続方法
まず、出先で替えのチェーンを携行している、という方はごく少数と思われます。
もし、替えのチェーンがあれば、それと取り替えてください。
そして、切れた箇所を確認します。
ほとんど場合、切れた衝撃で、破断部分のパーツが吹き飛び、紛失しているでしょう。
お使いの車体が、クイックリンク、ミッシングリンク式で、かつ破断部分がこのクイックリンク、ミッシングリンク式の外れ、紛失であれば、修復は容易です。
(余談になりますが、クイックリンクとはシマノさんの商標、ミッシングリンクとはKMCさんの商標で、いずれも似た原理で接続する製品です。)
替えのクイックリンク、ミッシングリンクを使います。
しかし、出先にクイックリンク、ミッシングリンクを持ち運ぶ方は、相当に注意深い方でしょう。
それ以外の場合には、ピンを使ってなんとか再接続するしかありません。
ピン式とは、以下のようにピンでチェーンのリンクをつなげているタイプですが、このピンを持ち歩いている方も、極めてまれでしょう。
ようやく本題 出先でのチェーンの接続方法
ではどうするか、ここからが本題です。
まず、チェーン接続ツールがあることが大前提です。
おすすめは、ノグチさんが出しておられるツールです。
携帯式ながら、最低限の実用性があります。
ミッシングリンクが外れて、そかもそのミッシングリンクを紛失した場合、以下の画像のようになっているはずです。

2021年 兵庫県の山奥でチェーン破断
まず、チェーンは外側にあるつなぎ(リンク)と内側にあるつなぎ(リンク)が、ピンによって交互に接続されています。
外側のつなぎをアウターリンク、内側のつなぎをインターリンクと称します。
この状態では、アウターリンクが1つなくなっています。
(ミッシングリンクがアウターリンクの代わりをしていた、という訳です)
手持ちのパーツだけで再接続するには、1つだけピンを残したまま、インナーリンクを1つ除去します。
しかし、インターリンクが除去できる程度には、ピンをずらす必要があります。
このとき、ピンを全て引き抜いてしまうと、難易度が一気に上る、外れたピンを再挿入することは難しくなるため、ピンを抜ききってはいけません。
ピンを画像のような状態にして、再接続します。

ミッシングリンクが紛失したわけではない、という場合、アウターリンク、インナーリンクともに残存したまま、ピンだけが抜けて破断したと思われます。
その場合には、再利用できるピンがある箇所、かつチェーンの片側の端がアウターリンク、もう片側の端がインナーリンクになるように、インナーリンクとアウターリンクを除去していきます。
そして、アウターリンクにギリギリ、ピンを1つ残したままの状態にします。
残存したアウターリンクのピンを使って、チェーン反対側の末端にあるインナーリンクと接続させます。

つまり、ミッシングリンクが紛失して再接続した場合には1リンク、それ以外の場合は2リンク、チェーンが短くなります。
そのため、チェーン破断前に、チェーンの長さを限界までの最短値にしていた場合、本稿の応急処置をすることでチェーンの長さが足りなくなります。
チェーンが足りない場合、フロント最大ギア、リア最大ギアにすると、ディレイラーがもげることがありますから十分に注意してください。
この応急処置をした場合は、インナー固定にして、インナーだけで走行するのが無難と思われます。
また、あくまでもちぎれてしまった箇所を除去しただけで、チェーン全体のダメージが回復した訳ではありません。
補給できる都市、補修できるお店に到着したら、新しいチェーンに交換することを強くおすすめ致します。
皆様のご健闘をお祈りしております。
お家、通常の環境で使用する工具
なお、お家でチェーン接続をする場合は、以下の工具がおすすめです。
ピン式の場合、パークツールが最も使いやすいと判断します。
プロの業務にも耐えられる堅牢さ、精度で、一番のお気に入りです。
(もっとも、これはお店、スタッフさんによって意見が異なります。シマノを推す方も多いでしょう。)
クイックリンク式の場合は、通常であれば、以下の工具を使います。
補助的にこのようなツールを使うこともあります。
接続する前に暴れるチェーンを抑えるツールです。
ただし、お店ではこのようなものを使う時間すら惜しく、そのままサッと接続しています。
本日はこのあたりで宜しいと存じます。
それでは、皆様、次回お会いするときまで、ごきげんようです!!
以上、ラッコ店長こと、奈須野でした。


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