皆様、こんにちは!!
ラッコ店長です。
ロードバイク整備に必要な、最低限の工具について記します。
本稿は、趣味としてロードバイクをいじる、という方を対象と致します。
(業務としてロードバイクを触る方はお店の経営方針、ご自身にお考えに沿ってお選びください)
おすすめしない工具
パーツ、ボルト、ネジを保護するため、精度の低い、安価すぎる工具はおすすめしません。
最初からこのようなことを申し上げるのが心苦しいですが、Amazon等で販売されている、格安のセット品はお使いにならない方が良いです。
写真うつりはよく見えますが、この手の格安セット品は、実際に使ってみると論外の精度、使い勝手の悪さなどが目立ち、大変失礼ながら、ロードバイクには不向きです。
最高峰
それでは、どのような工具を選べば良いのでしょう。
まず、スポーツバイク業界で使われる工具のうち、品質の高い工具としては、パーツクール社のものか、ホーザン社(パークツールの輸入元です)のものが挙げられます。
ところで、趣味としてスポーツバイクをいじろう、という意欲のある方であれば、車体も良いものをお使いと推察します。
良い車体を整備するためには、工具も良いものでないと、車体、パーツを傷めやすくなります。
せっかく良い車体をお持ちなのであれば、工具も良いものを選ぶのが、車体との釣り合いがとれる、というものです。
そのため、本稿では、定評のあるパーツクール、ホーザン社のツールを中心にご紹介します。
究極的なことを申せば、自転車店と同じだけ揃えれば良い、ということになるでしょう。
以下のセットが、これだけで開業できる!!という充実したものです。
パークツール マスターツールキット
お値段は¥2,000,000以上。
確かに。。。これがあれば最上級、プロショップでもここまで揃えているお店は少ないのではないでしょうか。
これぞ究極。
最高峰と言えましょう。
しかし、お値段がっ
とんでもない金額であります。
もっとも、個別に購入するよりも、少し割安に設定されておりまして、そのあたりはパーツクールさんの良心が感ぜられます。
次点 現実的なもの
パークツール マスターツールキットはやや極端な例示ですが、もう少し実現可能性の高いものがあります。
パークツール プロフェッショナルトラベルツールキットです。
このキットは、要諦をおさえてあるといいますか、ちゃんとした専門家が経験に基づいて、使用頻度の高い工具を厳選してあります。
これはかなり良いです。
プロショップであれば、必然的にここまで揃うことはあるでしょうし、マニアの方であればこのツールキットはありかな。。。と思わせます。
個別に揃えていく場合
フロアポンプ
スポーツバイクにおける、最も頻度の高いメンテナンス、それはタイヤの空気圧管理です。
空気を入れるには、いくつかの方法がありますが、フロアポンプと呼ばれる、大型のポンプが使いやすいでしょう。
ところで、店頭では、お安いポンプと高価なポンプの違いを尋ねられることがしばしばあります。
その違いは、高価なフロアポンプほど、本体が頑丈になり、壊れにくくなります。
力を入れやすくなるため、空気を入れる作業が楽になります。
また、高価なポンプほど、一度に注入できる空気量が増えます。
一日に何台も空気を入れる業務であれば、高価なポンプで十分に元が取れます。
趣味として使うのであれば、¥5,000前後のポンプで十分でしょう。
それ以上の価格のものは、贅沢品で、まったくよろしいものですが、ややオーバースペックです。
逆に、お安すぎるポンプは本体の剛性が低すぎてポンピングしづらく、おすすめしません。
また、ロードバイクにお乗りであれば、最低限でもフランス式に対応した、圧力計のついたポンプが必要でしょう。
以下にご紹介したものであれば、手元に圧力計があって見やすく、また、フランス式とイギリス式対応という、日本国内であれば万全の布陣になっています。
多くのスポーツバイク用ポンプは、フランス式とアメリカ式バルブが装備されておりますが、この日本国内では、ほとんど米式バルブというものを使いません。
フランス式が充填できるのは当然として、片方をイギリス式対応としたのは、英断と考えます。
フロアポンプはGIANTさんなり、Cannondaleさんなり、TREKさんなり、各社自転車メーカーも販売しています。
これは結局、OEMで作らせているからできることで、どの自転車ブランドの空気入れが優れている、というほどの差はありません。
個人的には、パナレーサーが優れているかな。。。と思いますが、お気に入りブランドのものでよろしいでしょう。
パーツクリーナー
空気入れの次は、汚れ落としです。
パーツクリーナーがあれば、自転車に関わるほとんど全ての汚れを落とすことができます。
ただし!!
フレームに直接塗布すると、塗装面を溶かす、塗装を削ってしまうためよろしくありません。
フレームの汚れは、パーツクリーナーのような揮発性のある溶剤ではなく、後述するような、別の洗浄液をお使いください。
(もっとも、あまりに油汚れがひどい場合は、フレームにパーツクリーナーを塗布することはあります。しかし、それは少量で、かつ例外的な事例です。)
また、これは自転車に限らない注意点ですが、パーツクリーナーは油を強力に溶かす物質です。
そのため、ペダルの根本、ホイールの回転部分、ボトムブラケット、ヘッドの回転部分などに注入してはいけません。
内部のグリスを溶かしてしまい、ベアリングがベアリングの受けに直接当たることになって、摩擦抵抗が劇的に増えてしまいます。
ベアリング、受けの両方とも一気に損耗してしまうため、一度、グリスが完全に溶け出してしまうとやっかいです。
損耗が進むとパーツ交換、本格的なオーバーホールが必要になりますから、グリス部分へのパーツクリーナー塗布は十分にご注意ください。
どこがグリス部分か分からない!!という場合は、パーツクリーナーはチェーン、チェーンリング(前ギア)、スプロケット(後ギア)の外部のみに噴射してください。
なお、以下にご紹介しておいて恐縮でございますが、パーツクリーナーはホームセンターで販売されているものでも十分です。
極端な品質差は無いと思われます。
概ね1缶¥300-500前後で販売されています。
もし、店頭に並べるのであれば、露骨にホームセンターの印字があるものは恥ずかしい、安っぽい感じがする、ということもあるでしょう。
その場合は、ワコーズさんなり、ブランド品をお使いください。
業務として使うのであれば、逆噴射が可能なタイプが必須となるでしょう。
逆さまにして吹き付けたいときもありますから。
なお、パーツクリーナーは可燃性の高いガスを使用しておりまして、換気には十分お気をつけ下さい。
バイククリーナー
万能のクリーナーとしては、フィニッシュラインのバイクウォッシュが使いやすいです。
これであれば、フレームはもちろん、タイヤ、サドル、バーテープの洗浄にも使えます。
ラッコ店長も業務で一番多用するのは、このバイクウォッシュです。
洗浄力は控えめですが、チェーンやスプロケットのクリーニングにも使えます。
業務で使っていてありがたいのは、手が荒れにくい!!ということです。
スタッフ目線ではありますが、助かります。
また、割高になるため、業務用としてどんどん使うことがためらわれますが。。。品質は良いものとして、ワコーズ フォーミングマルチクリーナーがあります。
趣味として少量、お使いになるのであれば、良品と思われます。
ワコーズのケミカルは、業務用として大量に使うには、なんとも高価で工賃を大幅に引き上げないと割に合わない贅沢品であります。
チェーンオイル
工具とは言いませんが、チェーンオイルも重要です。
自転車用に作られたものが、塗布後も飛散しにくく使いやすいです。
入門用であれば、洗浄と潤滑を兼ねた、ワンステップをおすすめします。
チェーンの汚れを十分におとしてあるのであれば、フィニッシュライン ドライタイプがおすすめです。
メンテナンススタンド
もし場所に余裕があるのであれば、メンテナンススタンドがあると一気に、作業できる範囲、種類が増えます。
業務でも使える耐久度のある、ミノウラのスチール製スタンドをおすすめします。
車体を固定して、ぐるんぐるん、縦に逆さまにと回転させることができます。
車体の裏側の作業も楽です。
また、スタンド本体が極めて頑丈、重いため、ぐらつきません。
車体を固定する部分の回転のできないスタンド(吊り下げるだけのスタンド)は、結局役に立ちません。
見栄えはそれっぽくなりますが、メンテナンス用具としては役立たずです。
そのため、回転させることができないスタンドは、仮にお安く販売されていたとしても、無用と考えます。
メンテナンススタンドが無くても日々のお手入れは結構できますから、無理に購入しなくても平気です。
六角レンチ、アーレンキ
スポーツバイクいじりにおいて、最も使用頻度が高い工具は、六角レンチ、アーレンキです。
スポーツバイク工具の本家!?、パークツールのものでも良いですし、アーレンキは汎用的な工具であるため、パークツール以外にも品質の良いものを販売している会社があります。
ラッコ店長はKTC(京都機械工具株式会社)のアーレンキを愛用しています。
なお、安価なアーレンキは精度が低いだけでなく、長さも短すぎてトルクをかけることができません。
そのため、ペダルを外したり、サドルを固定するなど、高トルクが求められる場面では全く役に立ちません。
ある程度の価格のものであれば、長くなりますから、高トルクをかけることが可能になります。
また、ロードバイクをさわる頻度が高くなりますと、意外に便利なのが、三叉のアーレンキです。
4mm、5mm、6mmと、ロードバイクで使われるボルトのほとんどを抑えているため、これ一本でほとんどの組付けが可能になります。
むぎゅっと握ることができるため、滑りにくく、力も入れやすいです。
しかし、やや汎用性重視のため、狭いところの作業や、より正確性が求められる部位には向かないでしょう。
あると便利なアーレンキです。
プラス、マイナスドライバー
次に、必須なのは、プラス、マイナスドライバーです。
プラスドライバーはディレイラーの調整、ネジや小物の取り付けに使います。
マイナスドライバーは汎用的な工具で、リムテープを剥がしたり、細かな部分を押したりと、何にでも使います。
しかし!!
プラス、マイナスドライバーはあまりにも一般的な工具で、必ずしもパークツールでなくても業務はこなせます。
100円ショップ、ホームセンターの安売りのものでなければ、他社さんのものでも十分に品質の高いものがあるでしょう。
あえてパークツールを選ぶ理由は店内、作業場にズラリと並べた工具のブランド、デザインがマチマチですと、煩雑な印象を与える、素人っぽいからでしょう。
実際、私もお客様から、整然と並べた工具を見て、このお店なら任せられると思った、というお話を受けたことがあります。
個人的には、パークツールの握り心地が好きで、パークツールのプラス、マイナスドライバーは嫌ではありません。
また、スポーツバイクにおいてプラス、マイナスドライバーはそれほどのトルクをかける部位ではなく、パーツクールのサラッと回せる握り部分が好きなのです。
しかし、これもまた、パーツクールでなければ仕事ができない!!というほどではないでしょう。
タイヤレバー
自転車屋さん、趣味のご用途ともに、タイヤレバーの使用頻度は高いです。
タイヤレバーには、金属製のものと、樹脂製のものがありますが、樹脂製のものが使いやすいでしょう。
確かに、業務では、とんでもなく硬いタイヤ、20インチ以下の特殊タイヤなどを外すときに金属製のレバーも使います。
しかし、本稿で対象とするようなロードバイク、つまり700C規格のものであれば、べらぼうにタイヤのビードが硬い、ということはないと思われます。
そのため、ホイール、タイヤ、チューブを傷つけにくい樹脂製のタイヤレバーが良いでしょう。
ワイヤーカッター
さらにこだわってメンテナンスするのであれば、ワイヤーカッターがあると良いでしょう。
ワイヤーカッターは安価な工具ですと、ケーブルがバラける、切断面がギザギザになると、およそ使い物になりません。
信頼のパークツールか、ホーザンが良いでしょう。
ラッコ店長はホーザンのワイヤーカッターを使っています。
もっとも、Di2、油圧ディスクブレーキを使った高級車体のみお使いの場合は、このワイヤーカッターは無用かもしれません。
チェーンカッター
ご自分でチェーンを交換するのであれば必要です。
しかし、チェーンの接続にはそれなりの経験が必要です。
ピンが折れる、チェーンが歪む、最悪、工具が壊れるということもあります。
自転車店にお任せになるのが無難と思いますが。。。どうしてもという場合には、やはりパーツクールのものが使いやすいと思われます。
なお、高級車には、クイックリンク、ミッシングリンクという部品でチェーンが接続されていることがあります。
この場合には、別の工具が必要です。
チェーンカッターの補助具
チェーンを切断、接続するときに、チェーンがびょーーーん!!と跳ねて車体を傷つける、怪我をすることを防止してくれるものです。
あれば便利です。
なお、これはやや邪道なツールのため、パークツールは展開しておりません。
チェーンチェッカー
チェーンの伸び具合を調べる工具です。
伸び1以上であれば交換時期でしょう。
0.75でも交換推奨です。
伸びすぎたチェーンは変速不良を起こす、チェーンリング、スプロケットを偏摩耗させると、周りのパーツ類を巻き込んでトラブルを増やしていきます。
ここまで揃えた場合、かなりのマニアです。
ニッパー
アウターケーブルなど、切断するときに使います。
トルクレンチ
カーボンパーツを使う場合、締め付けトルクの管理は必須です。
トルク過剰になりますと、ピシッといってパーツ、フレームが割れます。
アルミであったとしても、変形する、折れるなど、オーバートルクはスポーツバイクを破壊しかねないため、トルクの管理には神経を使います。
趣味としてお使いであれば、トピークのトルクレンチがお値段の割に使いやすく、正確でよろしいでしょう。
本格的なものをお望みであれば、パークツールのトルクレンチをおすすめします。
スプロケットリムーバー
ご自分でスプロケットを交換したい、ということであれば、スプロケットリムーバーがあると良いでしょう。
業務用としては、パークツールのものをおすすめしますが、趣味としてお使いであれば、以下のものでも十分です。
パークツールと何が違うのかといえば、精度もさることながら、最大の違いは工具の耐久性です。
店頭に持ち込まれるスプロケットには、状態の悪いものも多く、サビで固着しているものもしばしばあります。
そのような劣悪な装着状態であっても、パークツールの工具であれば、えいやっと外すことが可能、な場合があります。
安価な工具ですと、工具が折れる、切れてしまいます。
しかし、趣味としてスポーツバイクをいじろう、という方はスポーツバイク大好き、マニアの方ばかりです。
そして、バイクの状態は、むしろ状態が良いことがほとんどです。
そのため、スプロケットリムーバーは普及価格帯のものでもなんとかなるでしょう。
もちろん、パークツールをお選び頂いても構いません。
パークツールの場合、さらにモンキレンチが必要になります。
日々のメンテナンスは、このくらいの工具があれば十分可能です。
これ以上の作業は、自転車店にお任せになるのがよろしいと思われます。
なお、スポーツバイクいじりを学びたい、ということであれば¥70,000くらいのクロスバイクをご購入になって、それをバラしたり、組み立てたりして基本を習得するのがよろしいと思われます。
お安すぎるクロスバイクは、規格が古い、パーツの精度が低い、脆いため、練習用には向いていません。
本日はこのあたりで宜しいと存じます。
以上、ラッコ店長こと、奈須野でした。


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