皆様、こんにちは!!
ラッコ店長です。
本シリーズは、業務をしていて不思議に思ったことを書き連ねたものです。
日々業務をしていて、ときどき現れるタイプのお客さんがいます。
修理の内容を伺って、おおよそのお値段をお伝えした瞬間に、高っ!!とおっしゃり、そのまま帰る方です。
この、高っ!!と一言だけおっしゃって帰る方は、奇妙なことに提示するお値段が低いほど起こります。
一番起こりやすいのは、空気入れです。
空気入れ
当店では空気入れに¥200を頂いております、と申し上げると、
その瞬間に、高っ!!とだけおっしゃって立ち去るのです。
¥200で高いのであれば、¥100ならばどうでしょう?
¥50であれば?
おそらく、¥200で高いと発言する方は、お金を払う時点で、いくらであっても高いと言うに違いありません。
しかし、よくお考えください。
空気入れは、コンプレッサーという機械を当店が自腹で購入し、自腹で電気を供給して、スタッフの労働時間を割いて空気を入れるのです。
コンプレッサーは一台数万円というお値段がします。
しかもこのコンプレッサー、無限に使えるわけではありません。
いずれ、故障して、新調しなければいけません。
電気代も空気を充填している間は1000Wとかの電力を消費します。
スタッフの労働時間については言うまでもありません。
空気を入れるだけでそれまでの仕事は中断され、さらに2分は時間が必要です。
これだけのコストをなにゆえ営利企業が無料で提供するのが当然なのでしょう。
無料で提供している会社、お店があるとすれば、母体によほど余裕がある、無料で提供することで維持コストを上回る利益が見込めると判断しているからでしょう。
先日はこのような事がありました。
外国人のお客さんで、空気入れを貸してほしい、とのことでありました。
しかし、当店では空気入れの貸し出しはしていません。
理由は様々にありますが、酷い言い方をすれば、当店に負担になるだけでロクなことがないから、です。
長々と理由を説明しても詮無きことであるので、スタッフが¥200でお入れします、と申し上げて、空気を入れました。
そして、こっちもお願いする、とお店の外からさらに2台目を出してきて追加の空気入れをお願いしてきたのです。
私は迷いましたが、日本人のお客さんと外国人のお客さんとで、料金を変えるのも奇妙であると判断し、¥200というのは一台あたりのお値段です。
2台であれば¥400となります、と申し上げたところ、高すぎる!!と英語でおっしゃり、あり得ないだろ、というお顔で私を凝視したのです。
しかし、東京の物価をご存知ないのでしょうか。
そもそも、素人の方が入れる空気入れの方法と、自転車店のスタッフ、プロが入れる空気入れの入れ方ではまるで違います。
バルブへのダメージの大小、タイヤの状態を判断した上での適正空気圧の選択、などなど、空気入れという仕事の価値をここまでご理解いただけないのであれば、有料でも空気入れのサービスを停止しようか真剣に考えております。
無料がよろしいのであれば、どうぞ綿密にお調べになって、そういうお店をお探しください。
ブレーキシュー交換
高っ!!
と拒絶される2番目に多いのは、ブレーキシュー交換です。
当店ではおおよそ片側(フロント、リアのどちらか)で¥3,500-¥4,000ほど頂いております。
前後で¥7,000-¥8,000というところでしょうか。
まず、スポーツバイク用のブレーキシューはパーツ代だけで¥1,500はするものです。
それにプラス工賃を頂くことになります。
いきなりお話が脱線しますが、ブレーキシューの取付は自転車安全整備士、自転車技士の資格試験でも試験科目となっているのです。
それだけアマチュアとプロの差が歴然と出る分野、ということです。
単純にネジを締めました、というだけではおよそブレーキの性能を発揮できません。
さらに、間違った方法でブレーキシューを取り付けると、タイヤにあたってパンクする、バーストする、ブレーキシューが脱落するといった、極めて重大な事故に通じる可能性があります。
そういうわけで、ブレーキシューの取付には神経を使いますし、設定する時間も必要になります。
そのため、工賃も¥2,000くらい、としております。
そもそもの原因 その1 賃金水準
工賃なり、サービスが高い!!とお思いになるのには、原因が2つあるでしょう。
まず、1つは。。。物凄く失礼なことを申し上げます。
ご自身の賃金が低いからでしょう。
今の日本で、人を5分、10分と使役させた場合、どれほどのコストがかかるとお思いですか。
¥500、¥1,000など、すぐにかかります。
専門家であればなおさらです。
それが高い、とお感じになるのであれば、ご自身の賃金が低すぎて、それに照らし合わせておられるから、と愚考します。
もしや、東京都新宿区の最低賃金は2025年10月現在で、¥1,226ですから、5分の作業なんて¥102(1225/12)で十分だ!!とかお考えでありませんか。
企業が人を動かすには、スタッフの賃金だけでなく、税金、お店の維持費など、さまざまなコストが必要になります。
業界にもよると思いますが、スタッフのお給金の2-3倍には価格設定をしないと、やっていけません。
5分の作業で¥500というのは、不当どころか、最低水準の工賃といえるでしょう。
しかし、当店が営業している新宿は、決して豊かな街ではないと痛感しております。
生活費、住居のコストが激高であるにもかかわらず、お給金は日本各地と比べて群を抜いて高いわけではありません。
時間とお金の工面に追われ、皆様、生活が苦しいのだろうなあ。。。と思われることが多々あります。
そもそもの原因 その2 完成車価格
今の申し上げようは、あまりにも悪意に満ちているので、もう一つの原因があるとすれば、完成車の価格が下がりすぎているからです。
Amazonさん、楽天さんなどで少し探せば、¥10,000台の自転車なぞ、すぐに見つかります。
そういう自転車が当たり前だとすれば、空気入れに¥200、ブレーキシューの交換に¥4,000というのは高すぎる!!とお感じになるでしょう。
これはもう、ステージが変わったといいますか、時代が変わったとしか申し上げられません。
完成車がこれほどお安いのは、素材を粗悪なものにして、それを賃金水準の低い諸国で作って、さらに組み上げ精度も徹底的に低くしてあるからです。
例えば、同水準の素材で作った車体を日本の作業員さんに組み立てさせたとすれば、自転車は最低でも¥50,000はするでしょう。
10年は使える、という堅牢なパーツで、しかも日本の作業員さんが組み立てた場合には¥100,000はするでしょう。
大昔、自転車というのは高級品だったのです。
しかし、お安くするためには、パーツの品質も、組み上げ精度も、すべてを犠牲にするしかないのです。
酷いことを申し上げます。
¥10,000台の自転車は、パンク、ブレーキシューが摩耗した場合は、修理しない方が合理的なこともあります。
靴でも、バッグでも、時計でも何でもよろしいですが、極端にお安いものは製品価格よりも修理金額の方が高くなるでしょう?
人件費の高い日本で修理したとすれば、それと同じことが自転車にも起きえます。
当店でも修理の主軸になっているのは、¥150,000以上はする電動自転車ばかりです。
電動自転車であれば、おいそれと乗り捨てできる価格ではありませんし、修理代金が例えば¥8,000になったとしても、やむを得ないとご理解頂けるでしょう。
愚にもつかないことを長々と申しました。
本日はこのあたりで宜しいと存じます。
それでは、皆様、次回お会いするときまで、ごきげんようです!!
以上、ラッコ店長でした。
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